<新緑の上高地>風景写真の愉しみ#12
現在私が撮る風景写真は2つに大別され、そのひとつが新緑です、第9回からお話を始めました。日光霧降高原、箱根とお気に入りの場所のご紹介いたしましたが、今回は日帰りではさすがに無理で、遠出をしていくお気に入りの場所のご紹介です。
日帰りは無理と言っても、当時は時間もお金も余裕がありませんでしたから、遠出の際も基本は夜行日帰りの強行軍です。
土曜日に仕事を終えて帰宅後、夜行バスに乗って日曜日に撮影を楽しみ、その日中に帰宅し、また翌日から仕事、という動き方です。
現地で過ごす時間は、早朝5時すぎから帰路のバスが出る午後3時くらいまで。十分とは言えないまでも、それなりに楽しめる時間がある行程です。
さあ、どこに出掛けているかというと、
上高地 です。
早朝、午前5時に大正池でバスを降り、すぐさま撮影準備です。
有難いことに初めて新緑撮影でその場に行った日は快晴。
さらに有難いことにほとんど無風。
既に日の出は迎えていますが、穂高連峰等への日差しはまだ来ていません。
まずはこんな感じの一枚が撮れました。
日曜日ということもあり、この時点でほぼ場所取りは終わっている状況です。三脚がずらりと並んでいます。
それから待つこと約2時間。
大正池の木々にも光が回ってきました。
風は変わらずありません。本当に初めて行ったのに信じられないくらいの光景が目の前に広がっていました。
この時はまだリバーサルフィルムをメイン機として使っていた時期ですので、デジカメはあくまで予備と思って撮っていました。
ですが、このように見返す際には本当に便利ですね。
そして、その時のお気に入りの一枚が下記です。
大正池での2時間少々の時間でもう十分満足な状態になりましたが、まだまだ上高地はここから奥に広がっています。
三脚を片付けて出発です。
次に向かったのは田代湿原。下の写真はどうでしょうか。
この光景をご覧になったことは多くの方があるのではないかと思います。
そしてこの場所よりも、お勧めがその先(右手に進むのですが)にあるのが田代池です。
ここはぜひとも足を運んでいただきたい場所です。一部の方はそちらに行かずに河童橋の方に行ってしまいますので。
私の力量ではなかなかあの場所の独特の空気感をお伝えすることができませんが、静かな時間がここでは流れている、ということを感じることができるでしょう。
そしてここから河童橋に向かって歩みを進めていきます。
ここも多くの方が撮影される場所ではないかと思います。
橋の上からのぞむ梓川と穂高連峰。
きれいな場所です。
あちこちで撮影をしながらですので、大正池を出発してから河童橋まで約2時間かかりました。
コースタイム上では1時間で行ける距離です。三脚を用いながら撮影をしていく上では、この程度の時間はどうしてもかかります。じっくり撮影したいと思えば3時間見ておいて方が良いかもしれません。
さあ、有名な河童橋に当チェクです。
朝9時を過ぎていますから、一般観光客の方も随分訪れています。河童橋上ではさすがに三脚を立てて、というわけに行きませんし、意外と揺れます。撮影は橋から離れた場所がやはり良いでしょう。
橋の右横からの一枚がこちら。
いわゆる絵葉書写真ですが、やはりこれは押さえておきたい1枚ではないかと思っています。
本当に快晴が続く日でありがたい、の一言でした。
さて、そこからさらに奥に進んでいきます。小梨平キャンプ場です。キャンプ場の梓川沿いの一番奥の場所まで行くと、穂高連峰の見え方もだいぶ異なってきます。ですが、清流と残雪の穂高連峰という構成はずっと代わりません。
そのような情景の中での一枚が下記です。
ここにはどれいくらいたでしょうか。
このキャンプ場近辺の側は護岸工事がされていて、完全に自然の状態ではありません。そして手前の方は川の流れそのものからは少し離れてしまっているのですが、ここでは本当に直ぐそばにその流れがあります。
そしてここではほとんど人に会いません。河童橋でのあの喧騒が嘘のようなのです。とても静かな撮影に没頭する時間を過ごすことができました。
そうこうするうちに、大して距離的には移動していないのですが、だんだん帰りのバスの時刻が近づいてきます。
この場に留まってもっと穂高連峰を狙う、という行動でも良かったのですが、やはりここに来ている以上は、岳沢湿原には行っておきたいとと思って再度移動開始です。
岳沢湿原は河童橋から10分くらい歩いたところにあります。もし誰もいなければ本当に静謐という言葉がぴったり来る場所ですが、遊歩道がしっかり整備されているので、日中はそれなりの数の人が訪れる場所です。そしてみんなと言ってもよいほど多くの方が「ああ~」という感じでこの場の光景に出会うと反応されます。
それほど、日常とは違う何かがこの場を支配しているように私には感じられます。
この写真で何かを感じ取ってほしいというのは無理なお願いですが、何かが違うのです。
百聞は一見にしかず。是非多くの方に足を運んでいただきたい場所です。
本日もお付き合いいただきありがとうございました。
新緑のお話を少々続けました。次回からは、私のもう一つのテーマである紅葉についてのお話に進みたいと思います。
楽しみにお待ちいただければ大変ありがたく存じます。