登山初級者でも東京、神奈川近郊にお住まいの方であれば気軽に上ることができる山。
今回ご紹介するのは、箱根の明神ヶ岳です。
所要時間5~7時間、標高差約700m。歩行距離約10kmで、何よりも箱根にはあちこちに日帰り温泉があるので、登山で疲れた体を休めるのに、また日ごろたまったストレスを解消するには本当に良いところです。
その箱根・明神ヶ岳では、なんといっても富士山を本当に大きく、真正面に見ることができるので、誰であっても爽快な気分になること間違いなし(富士山見えないときは残念ではあるのですがそれはまたそれ)。
そんな箱根・明神ヶ岳のご紹介です。
なお、私の場合は、富士山が見えると写真を撮る時間が大幅に増えるので、所要時間はとても幅があります。あらかじめご容赦くださいね。
一般的なルートは、箱根湯本からバスで仙石まで行きます。
仙石を経由するバスは10分に1本程度出ており、ほとんどいつも座れます。私の場合は、小田原から出るバスも本数は少ないのですがあり、東海道線との接続の関係で、小田原からバスに乗るケースのほうが多いかな。
さて、ルートの話に戻りますが、仙石から矢倉沢峠に向けて上り始め、そこから右手に折れて、明神ヶ岳方面に進むルートがガイドブックではよく紹介されています。私も初めて登った際にはこのルートで行きました。またこのルートであれば、矢倉沢峠ではなく、公時神社の脇を通って金時山にまず登ってから明神ヶ岳を目指す、というルートもお勧めです。
そのルートでは明神ヶ岳の山頂を超えた後は、宮城野に下り、そこからバスで箱根湯本に戻ってくるルートです。
<金時山に登るなら公時神社でお参りしてから>
ですが、今回ご紹介するのはそのどちらでもありません。
行程としては個人的な感覚ですがだいぶ体力的にきつくなるのですが、一般的なルートのあえて逆を行くのです。
つまり宮城野からのスタート。
箱根湯本から乗ったバスは、宮城野支所前で降ります。ここにはトイレがあるため、出発前の準備(私の場合は膝のサポーターをつけたりなど)をするとともに、すぐ近くにコンビニもあるため、昼食の用意等にもとても便利な場所です。
そこから明神ヶ岳登山口に向けて、一般の住宅街の中を通っていきます。初めてであっても所々に標識があるので、迷うことなく登山口にたどり着けるのではないかと思います。
<明神ヶ岳登山道入口(宮城野から)>
写真では小さくて見えないと思いますが、ハイキングコース案内図ではここから明神ヶ岳までは鞍部まで50分、そのあと45分の合計95分。
一方右手奥に見える標識案内の看板では明神ヶ岳まで1時間25分となっています。
あれ???
という感じですね。
でも、このガイド時間は、私にとってはいずれにしても役立ちません。
途中で写真を撮るのに立ち止まるせいもありますが、私にとっての明神ヶ岳までのコース時間は最低でも2時間(120分)です。
そんなに立ち止まって写真ばっかり、と言われてしまうかもしれませんが、あながちそれは否定できないのですが、それよりも鞍部までの上りがとても体力的に毎回きつく感じます。
鞍部まで1時間半近くかかることも。そうなると明神ヶ岳頂上まで2時間半でもたどり着かなくなります。
日頃運動不足で山に登るのはきついかな、と思っている方であれば、頂上まで2時間半はみておかれるよいでしょう。
そして鞍部までの間は視界もほぼなく、つらいところです。それによって余計にきつく感じるのかもしれませんね。
後半になると、少し開けるところが出てきます。
天気が良い日であれば下の写真のような光景には出会うことができます。ただし早い段階でこの光景に出会うということは高度を上げていけば紅葉は終盤ということになってしまいます。ゆえに富士山と紅葉というテーマで狙うのであれば、鞍部に出るまではその次に載せたまだとても紅葉の時期とは思えないレベルでの色付きで十分です。この写真だけ見ると新緑の時か、と思ってしまうほどですよね。
<宮城野から鞍部に向けた登山道にて>
そしてこの写真のあともう少し頑張ると、ようやく鞍部に到着です。今回のルートはここまでが最も体力的にはきついところといっても過言ではないでしょう。
距離的には頂上までのルートの半分強、といったあたりですが、体力的負担は、三分の二はもうクリアした、と言ってもよいでしょう。
何よりもこの先は富士山が見えるようになってくるからです。
そしてその日の天候状態で、どの程度、富士山が見えるかは、頂上方面ではなく明星ヶ岳方面にほんの少々進むと見えるポイントがあります。だんだん曇ってきているのでは、というような心配な空模様の時であれば、チェックしておいてもよいかもしれません。
<鞍部(宮城野から明神ヶ岳に向けて)>
さて、看板上では頂上まで45分となっていますが、私の標準時間は1時間。
そこから20~30分歩いてきた道を振り返るとこんな光景を目にすることができる高度にまで到達します。掲載した2枚の写真は多少撮影ポイントが違いますが、鞍部から高度を上げていき、見晴らしもよく爽快感をだいぶ感じられるようになった場所で撮影したものです。登っていく時であれば振り返ってみた際の写真ということになります。
そしてお感じいただけるかと思いますが、左の写真は紅葉期という意味では終盤。右の写真はこの場所で見るとまだ紅葉には早いのかなと感じられる頃のものです。
撮影した年が違うので比較は困難ですが、左は11月下旬、右は11月上旬という差と捉えてください。
そしてさらに歩みを進めていけば、いよいよ前方に見られる光景がこちらです。
<明神ヶ岳頂上に向けて登山道からの富士山 (2016年11月6日)>
この日は本当に快晴。
この光景に出会うと、それまでの疲れも一気に吹き飛びます。
しかし、毎回こんな光景に出会えるわけでは残念ながらありません。しかしながら紅葉の時期にこの光景に出会うことができればその日は本当に素晴らしい日になることが大いに期待できます。どういう意味かといえば、新緑の時期と違って、快晴の状況が終日続く時が多いのです。
そして紅葉の色付き具合はお好みに合いますか。この写真は宮城野から鞍部に向けた登山道にて新緑の時期の写真か、と思える日と同じ日のものです。ここまで登ってくると下ではまだまだ緑、緑している葉がどんどん紅葉していっています。
そしてこの先にいよいよ明神ヶ岳山頂が待っています。
ただし、私の場合は一般の登山者の方々とは違って、頂上についたからといってものすごい大きな達成感を感じるわけではないケースの方が多く、この明神ヶ岳の場合もそうなのです。そこには人もたくさんいて、撮影場所を探すのにも一苦労します。
そのために、明神ヶ岳に行く際にはいつも頂上より少し先のポイントを楽しみに登っています。そこに私の好きな紅葉ポイントがあるのです。
頂上を過ぎると少しばかり林の間を通ることになりますが、そこを抜けて出会う光景がこちらです。
<明神ヶ岳頂上そばから臨む富士山と紅葉 (2016年11月6日>
ここは細い道の部分なので、三脚を立てる際には他のハイカーの邪魔にならないよう気を遣う場所ですが、私の場合は、頂上の場所以上に時間を取って、じっくり撮りたい場所です。
このポイントからもう少し先に行くと少し雰囲気が違うのですが、似たような場所があります。どちらが良いかはお好みでしょう。
<明神ヶ岳下の紅葉 (2016年11月6日)>
そしてこの場所はなにも富士山だけが被写体ではありません。
左下の方角ですが、谷間に広がる木々の美しさ。新緑の時だけでなく、紅葉時もとてもきれいな色付きになります。富士山ばかり見ていないで忘れずにここも堪能してほしい場所です。
<明神ヶ岳ルートでの紅葉 (2016年11月6日)>
ここからもう少し進むと、金時山がどんどんその存在感を増してきます。新緑の時同様、ここでも足を止めたくなること間違いなし、のポイントです。
<明神ヶ岳ルートでの紅葉と金時山と富士山 (2016年11月6日)>
さて、このポイントを進む(下る)としばらく富士山とはお別れです。
そして火打石岳を通過すると、樹林帯の中を進むようになります。そしてそこを抜けるとこのルートでももうひと踏ん張りしなければならない箇所に突入していきます。
ハコネダケに覆われている場所ですが、下っては登ってを複数回繰り返す場所に遭遇します。残念ながら視界もきかず、ただ単に歩くだけのところになりますので、まだかまだか、という思いになりますが、頑張って乗り越えてください。
そこを越えると、金時山が大きくその姿を現してきます。
まだ富士山も見えてみますが、だんだん進んでいくと富士山は頭だけになってきます。そして残念ながらこのあたりの紅葉はあまりきれいな感じにはなりません。富士山がくっきり見えているようであれば三脚を立ててじっくり撮影という時にも遭遇するでしょうが、それでなければ記念写真のレベルにとどめて先に進みましょう。
<金時山と富士山>
新緑の時もそうですが富士山とのコラボということであれば午前中の時間帯の方がコントラストもはっきりしてよい光景に出会うことができるでしょう。
矢倉沢峠にたどり着くと左折して下山ということになります。
矢倉沢峠から仙石まで下りてきた後は、仙石のバス停からバス乗車で帰路に向かいますが、一つだけ注意点が。
そのバスルートは連休などの一般観光客が箱根に繰り出すときには持っても渋滞の激しい道を通ることになります。
夕方になると全く動かなくなるようなひどい渋滞に巻き込まれることもあります。そうなったら諦めるしかないとも言えますが、今回の登山を始めた地点である宮城野あたりでもうすでに大渋滞、という状況に巻き込まれてしまったら、思い切ってバスを降りたほうが良いでしょう。宮城野からであれば少々歩くことになりますが、宮ノ下までバスではなく徒歩で行き、そこから箱根登山鉄道に乗り換えるのです。本当にひどい渋滞であれば圧倒的にこのほうが早く箱根湯本につきます。その代わり箱根登山鉄道も大混雑は覚悟してください。
さて、最後になりますが、このルートは新緑の時期も私は大好きです。
新緑編もありますので、ぜひそちらもお読みいただければと思います。