風景写真に魅せられてはや25年超。

 きっかけはある一つの映画からでした。

 “Out of Africa”

 邦題は「愛と哀しみの果て」。第58回アカデミー賞で作品賞、監督賞をはじめ7部門でオスカーを獲得した名作中の名作です。

 1985年公開の映画ですが、私が見たのはたしか1994年か1995年。ずいぶん経ってからビデオで見たのですが完全に映し出された映像の世界に引き込まれました。

 そしていつしかケニアに行ってみたい、アフリカのサバンナを体験したいと思うようになったのです。

 そしてその夢は1996年に叶えることができました。

 確か10日間の旅だったのですが、本当に感動の連続と言ってもよく、大地のエネルギー、生命のすばらしさ、そしてマサイの人々。何もかもが今までの概念を覆されるようでもあり、同時にフォトハンティングに完全にのめりこむことになったのです。

 それまでも旅行に行けば写真はよく撮っていました。カメラ遍歴を語ると長くなるので、別ページに譲りますが、中学1年の時にお小遣いをためて入門者用の一眼レフを買って以来、今までに7台。

 中1で買って以降、15年くらいはほとんど持っていることで満足しているレベルで、海外旅行に行くと急に撮りだす当時ありがちな典型的日本人男性のカメラ所有者の状態でした。

 しかしケニアに行ったときは全く違う状況になりました。当時はまだデジカメなどという文明の利器は全くありませんから、写真を撮るのは当然フィルム。36枚撮りフィルムを1パック、つまり12本入りで売っていたものを購入し、それをアフリカに持っていき、そして全部使い切ってしまいました。つまり400枚超。今であればデジカメで旅行に行くと、多い人は1日で400枚くらいの写真を撮る人もいると思いますが、当時はフィルム代だけでなく現像代もかかります。12本も一気に現像に出す、なんていうことは一般人にはあり得ない状況でした。

 でもこの旅行ですっかりカメラ、そして写真の魅力に取りつかれたと言ってもよいでしょう。それ以降、フィルム消費量は激増したことは言うまでもなく、36枚撮りフィルムを1本だけバラで買うなどということはなくなりました。いつも買うのは12本パック、という状態になってしまったのです。

 そしてそれがもう一段の変化(進化と言えるかどうかは???)を遂げたのがあるカメラを買ったことによってでした。

 確かそれは2010年ごろだったと思います。東京新宿のデパートで、毎年カメラ中古市を開催しているのは知ってはいたものの、なかなか足を運ぶには至らなかった中でついにこの年に足を運び、1台のカメラを購入しました。

 その時持っているカメラを購入した当時に候補として挙げていたカメラだったのですが、20万円超の値段に自分のサラリーや腕を考えると踏ん切りがつかず、ずっと諦めていた名機なのですが、時の流れはすでにデジカメ。その名機も世代も古くなるとともに、フィルムカメラであったことから一気に需要が減退したことで、何と3万円で購入することができました。そしてその時の店主さんからは、シリアルナンバーから見ても後期の製造なので、大事に使えば長持ちするよ、ということともにもう一つ、自分のカメラ人生に大きな影響を及ぼす一言を投げかけられたのです。何という声をかけてもらったかというと

「1枚1枚の写真をすごく大事にとることができるようになるよ」

という言葉です。

 デジカメで1日の400~500枚の写真を撮ることを否定するつもりはありません。実際私もこの前の家族旅行で海外に行った際には多い日は1日300枚くらいの写真は撮っています。ですが、この時の店主さんの言葉は本当に自分の中にしみこんでいます。特にそのカメラで使うのはリバーサルフィルムです。そして対象は風景。三脚をセットしてじっくり被写体と向き合ってこれでよいかな、とさんざ考えたうえでシャッターを切る。その時に感じる思い、込める気持ち、本当に店主さんの言う通り、1枚1枚を大事に撮る、という意味が分かるようになりました。

 出来上がった写真への思い入れもひとしおです。職業カメラマンではこうはいかないでしょうがあくまでこちらは趣味ですから、後処理が面倒であっても味わいのある写真が撮れる喜びのほうがはるかに勝ります。

 そして手元にあるデジカメ(フルサイズで3,700万画素)は今は最新機種ではなくなりましたがスペックとしては十分にトップクラス。撮った写真のデータも1枚で40MBを超える巨大ファイルになります。

 相当に大きく引き伸ばしても十分と言われるスペックですが、あくまで個人的な感覚でしかありませんが、スライドフィルムに残っている色彩、諧調、いまだにデジカメで撮った映像を凌駕しているように感じます。

 2017年に、フルサイズの一眼レフとともに、大三元と言われる大口径標準ズームを購入しました。ボディは新品を購入しましたが、レンズは中古で我慢。それでも40万円の出費です。20万円超で買えなかったフィルムの一眼レフに比べて倍の予算。さすがに昔よりは給料増えましたがやはり清水の舞台を飛び降りるような気持ちでお金がたまったもののいざ購入に踏み切るまで半年くらいかかったでしょうか。そのカメラで撮影旅行を楽しむようになりましたが、2020年になって再びフィルムカメラのあの感触、そしてスライドフィルムのあの出来上がりが忘れられなくなってしまいました。

 その結果が、レンズ購入です。

 再び中古。そして今度は新品購入の選択肢がなく、市場に出回っている中古品を買うしかなく、さらにメーカーの修理期間も終了してしまっているオールドレンズです。

 昔の大三元標準ズームレンズです。中古で約6万円。

 このカメラを大活躍させることはつまりオフの時間を充実させることにもなります。

 そして大事なことは、オフの時間を充実させるためには、ただ単に時間とお金があれば十分ではないという点です。

 仕事をしっかりしてオンの時間を充実させてこそ、オフの時間の充実度も上がるのが私の体験上も明らかです。

 だからこそ、本サイトのタイトルも「仕事に遊びに縦横無尽」なのです。

 仕事で悩みストレスを抱えているときに、気分転換で旅行に行くことは何度も今までありました。もちろん日常を離れて旅行に行くことができることだけでもう十分幸せと言える状況ではあるのですが、時と場合によっては今一つその旅行を存分に楽しむことができないときもありました。それなりにお金を使った豪勢な旅行であってもです。一方で、できるだけお金は節約して日数も少ない旅行であっても、一仕事やり遂げた、と思えた後に行った旅行は今でもはっきり覚えていますがとても充実感を感じリラックスできた旅行でした。オンタイムがしっかり肯定的に過ごすことができていたからこそのオフタイムだったということです。

 このサイトでは、人生の質を上げていくためのトータルバランスをどのように撮っていくか、ということに対する私なりの一つの提示です。この通りの人生を歩めば、人生の幸福度が増す、というものではありません。しかしながら、人生の幸福度を上げていくためには漫然と日々を過ごしていては絶対にダメです。意図を持った日々の生活は必須なのです。ですがその意図を持った日々の生活とは十人十色。こうでなければならないという定型パターンはありません。あくまで一つの参照軸としてこのサイト内の情報を活用してもらえれば筆者としても何よりの喜びです。

 このサイト内は、大きく分ければオンタイム(仕事)に関することとオフタイム(旅行や写真)に関することに分けられます。

 そしてここではあくまで風景写真に関するテーマについて深く掘り下げていきます。

 以下の中で興味のある分野がありましたら、どうぞじっくりご覧いただければと思います。

  1. なぜ禅なのか
  2. 風景写真とフィルムカメラ
  3. お勧め撮影地
  4. 座禅、座ることに興味を持ったなら
  5. 交通手段
  6. 風景写真の基本
  7. 星景写真への挑戦
  8. 山に行くための体力づくり

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