13年ぶりに行ってきました。

立山黒部アルペンルートの入り口。タンボ平。

2008年に私が紅葉写真にのめり込むきっかけになったと言ってもよい場所、この立山黒部アルペンルートにあるタンボ平。極めて容易なアクセスで、体力のない方でも本当に素晴らしい紅葉の中に身を置くことができる本当に素晴らしい撮影地です。今回も登山装備で行ってはいますが、その装備が必要だった時間帯は、滞在時間の4分の1だけでした。そしてもしその4分の1の時間がなかったとしても十分に満足いくことができる撮影行です。一人でも多くの方にカメラと三脚を持って訪れてほしい絶景紅葉の撮影地です。

それでは、今回見てきた絶景紅葉にご案内いたしましょう。

ただしその前にひとこと添えますね。訪問に当たっては

立山黒部アルペンルート オフィシャルガイド

は必見のサイトとして必ずチェックしてください。

紅葉情報は毎日アップデートしてくれますし、Twitterでのほぼ毎日の写真投稿があります。自分が行く日には紅葉がどのような状態になっているかということを想像するのもドキドキします。本当に有難いサイトです。そのおかげで旅の前から気分は早、興奮状態。9月中旬から毎日チェックしたいサイトです。

さて、今回の訪問の話に戻しますが、訪問日は10月3日。

13年前の前回は10月〇日。その時は紅葉終盤でしたが、今回は紅葉序盤から中盤に入るかどうか、という状況。

上記の立山黒部アルペンルートのオフィシャルガイドではライブカメラも設置してくれており、それで見ていた際にはタンボ平はまだ青々とした状態と言ってもよいくらいで、なかなか色付いてくれません。1週計画が早かったか、と本当に気をもみました。

しかし同サイトでの色付き指標では10月に入った段階で、大観峰では「見頃」の表示に進行。これならば大丈夫、と安心と期待を込めて10月2日深夜の夜行バスに乗り込みました。

そして翌日早朝、扇沢駅に到着してバスを降り立つと、天気は快晴。まだ日の出前で、思わずすぐに真冬用のフリースをザックから出しましたが、とにかくそこで関電トンネル電気バスの始発の時間が待ち遠しくて仕方ない、という状況です。始発は7:30。1時間半以上ありましたが待つしかありません。

扇沢駅周辺では全くまだ紅葉は始まっていません。

写真の通り、緑一色の状態。本当にこれで山の上部は色づいているのかな、と少々心配になりましたが、ここまで来ていまさら心配しても仕方ありません。

立山黒部アルペンルートのオフィシャルサイトで見せてくれた光景を信じるだけです。

そしていよいよ行動開始の時間となりました。関電バスは何台も同時出発します。列の前方に並んでいれば問題ありませんが、そうでない方の場合は、何台もあるバスの中でも前方のバスに乗せてもらうように係員の方にお願いしましょう。なぜかというと、それが次の黒部ケーブルカーの乗車順に影響するからです。

目指すは黒部平の駅展望台への一番乗り。

そのためには、黒部ケーブルカーも始発に乗りたいからです。

黒部ケーブルカーの終点、黒部ダムから黒部ケーブルカーの黒部湖駅までは少々歩きます。

オフィシャルサイト上では600m、徒歩15分となっています。もちろん関電バスの乗る場所が悪く、前にたくさんの人がいたとしても、この600mを走れば、黒部ケーブルカーの始発には乗れるでしょう。ですがカメラ機材等を持った状態で走るのは相当に辛い。私にとってははっきり言って無理です。始発に乗っている人々は多くが健脚で、歩くスピードも普通の人より相当に早い人々ですから。

そうなると関電バスも出口に最も近く、一番乗りに近い形で降車して一目散に黒部ケーブルカーを目指すのがお勧めというわけです。

今回の私の場合、乗り込んだ関電バスが最適な号車とは言えず、降車したときにはそれなりの人が前を歩いていました。可能限り頑張っての速足。徒歩15分の案内の所を約10分で走破し、何とかケーブルカーには始発組に間に合いました。

前回はそこまで考えなかったために始発には乗れませんでしたので、今回は頑張ったかいありました。

そしていよいよ、黒部平駅到着です。多くの人はロープウェイへの乗り継ぎで上を目指すため、乗り場に向かいますが、私は違います。

展望台に向かうため、建物から外に出る階段を使って、上を目指します。

そしてついに一番乗り。誰もいない世界でこの展望、いよいよ待ちに待った時が来ました。

どうぞご覧ください。

<黒部平展望台からのぞむ立山黒部タンボ平の絶景紅葉(52 mm、f/8、1/80秒、ISO100)>

いかがでしょうか。

想定通り、紅葉ピークには少々早いです。ですが、快晴の青空の元、最高の景色であることは間違いありません。このような景色を独占できるなんて本当に幸せでした。

因みに立山黒部アルペンルート公式Twitterサイトに出ている写真

(20) 【公式】立山黒部アルペンルート (@tateyamagirl) / Twitter

で紹介されている展望台から望む絶景がこちらです。皆さんがくつろぐ素敵なスペースがここには作られています。

この最先端が私の狙っていた場所です。先ほど掲載の写真もそこで撮っています。

2008年に初めて訪れた際にもその場所で撮っています。その時の写真が下記です。

この時はケーブルカーは始発に乗れずに、2番列車でしたが、幸い絶景を独占する時間が十分取れました。

今回は上記掲載のように椅子もテーブルも常備されて絶好の絶景鑑賞スペースができていましたが、今回も本当に有難いことにこの絶景をかなりの時間、独占していた気がします。

始発に乗って同じように上がってきた方もいらっしゃいましたが、滞在時間短くロープウェイに行かれてしまったようです。

それから約1時間、本当に撮影に没頭していました。

レンズを変え、そして今回もリバーサルフィルム用のフィルムカメラも持ってきているのでカメラを変え、とやっているとどんどん時計の針は進んでいきます。

このような光景をカメラに収めていました。

この場所でずっと撮影をしていてもよいくらいです。

ですが他の撮影ポイントもあるため、さすがにここにずっといるわけにもいきません。この場所でシミュレーションしていた撮影は一通り行うことができたので撤収します。

そして次は、ここ以上に今回の撮影行の目玉とも言える、ロープウェイ内からのタンボ平の撮影です。

前回もお伝えしていますが、何よりも大事なことはロープウェイの改札を1番で通過することです。そのために1本見送る覚悟でしたが、最高の紅葉風景かつ快晴のこれ以上ない日であるにもかかわらず、それほどまでのお客さんが訪問しているわけではなく、大変ありがたいことに乗り場に行ったところ、ちょうど1本前のロープウェイ改札終了時に当たったため、苦も無く次の便の1番乗りを確保できました。

そして次の便を待つこと10分少々だったでしょうか。いよいよ改札開始の時間となり、本当に有難いことにあの場所を確保することができました。

そうです、前方中央の窓が開く場所です。

今回のロープウェイも車体の色は以前とは全く変わっていましたが、車体自体は変わっていなかったようです。つまり前方、後方の中央部分は窓が開く構造ということです。他の方には少々申し訳ありませんが、窓の右端の確保は本当に大事なポイントです。タンボ平の絶景紅葉はロープウェイ車窓からは左側に展開するからです。

5分程度のロープウェイ乗車ですが、一体何枚撮影を行ったことでしょうか。

調べてみると43枚でした。

我ながら、シャッターを押しまくったな、と本当に思います。カメラのファインダーから目を離すタイミングはほとんどなかったと言っても過言ではないくらい、もうタンボ平にはくぎ付けでした。そして撮影できた写真のいくつかをご紹介しましょう。

<ロープウェイからのぞむ立山黒部タンボ平の絶景紅葉(48mm、f/11、1/640秒、ISO1250)>
<ロープウェイからのぞむ立山黒部タンボ平の絶景紅葉(38mm、f/10、1/500秒、ISO100)>

紅葉の時期としては、少々早いことが、緑色の多くの木々を通じて感じられると思います。ですが、色づいている葉は本当にきれいに、そしてさんさんと降り注ぐ太陽光のお蔭で光り輝くような感じがします。

これらの写真が撮れたことで、もう今回の撮影行は十分に満足と行ってもよいくらいの充実感を味わうことができました。

あっという間の時間ですが、本当に撮影に没頭した時間でした。

さて、そうは言っても大観峰に着いてからも大忙しです。

ここも展望台がしっかり整備されています。

今回も有難いことにそこで写真撮影をする方は日曜日にもかかわらず皆無と言ってもよいくらいの状態。自分が良いと思える撮影地点を定め、そこに三脚をセットして思う存分堪能することがここでもできました。

ただしどこをどう切り取るか、やはりここでも撮影の力量が問われます。

前回の撮影時のイメージは13年前のことでありながら残っているのですが、被写体の状況がやはり違います。そうなのです、紅葉の進み具合が違うため、前回狙ったポイントと、今回良い色付きを見せてくれているポイントがだいぶ違うのです。そうなると新たな目で、つまりその時、その場にいて感動を味あわせてくれる被写体が何か、ということを改めて自問自答することになりました。

そして私の場合はやはり赤(紅)に目が行きます。

今回は遠景部分よりも近景部分にある鮮やかな赤の方に目を奪われました。

その1枚が下記のものです。

<大観峰展望台からのぞむ立山黒部タンボ平の絶景紅葉(70mm、f/13、1/25秒、ISO100)>

写真では、そして私の腕では、その場の空気感をお伝えすることは到底かないませんが、本当に澄み渡った空、空気の中で感じることができた素晴らしい紅葉風景でした。

さて、この展望台での撮影に満足できたので、ここ大観峰展望台は非常に広い場所なのであちこち移動して記念写真的なものも撮影してきました。

ストックフォトを始めたこともあり、自分自身が楽しむための風景写真だけでなく、他の方がお金を出してほしいと思ってくださる写真とはどのようなものかな、ということを考えて撮影をこの頃はするようになりました。

そうなると、ここタンボ平での撮影はロープウェイを入れた構図は必ず押さえておきたいものになってきます。

展望台から撮影をひとしきり終えた後は、上へではなく下にくだります。

とは言え、下りのロープウェイに乗る、というだけですが。

そしてここもまた、強欲を前面に出して、場所取りです。1台見送る覚悟で列に並びましたが、有難いことに、自分の前に並ぶカップルの手前で、定員いっぱいに。ここはひとつのかけでしたが、カップルがわざわざあの場所を選ぶかどうか。

結果としては、同時にロープウェイに乗り込んだ際に、有難いことにそちらに向かう足取りではなかったために、一目散に後部の窓そばの場所を確保できました。こうやって書くと本当に強欲な人物、ということになってしまいますが、平日に来ることができれば、このようなこともないのでしょうが、サラリーマン生活を引退するまでは週末しか来れないわけで、ある程度は周りの皆様に温かいお気持ちでお目こぼしをいただくしかない、と思っています。

さて、その成果は。

上りの時の成果は、カメラのモニター上ではまずまずであることの確認はすでに済ませていますが、あくまでカメラのモニターでは細かいチェックまではできません。万が一、ということを考えて、下りも全神経集中で、数分間の撮影にのぞみます。

幸い、天気は快晴が続きます。撮影時刻自体の差は1時間少々でしたので、光線の感じもそれほど違いはありません。だんだん正午に近づいてきてはいますが、タンボ平では斜光線、つまり朝早い時間帯でないとダメ、という感じは個人的にはしませんので、十分に満足いく成果を上げられる下りの乗車となりました。

上り同様、手持ちで、一瞬一瞬の勝負なので、三脚を構えてじっくり撮影という時とは全く違う緊張感と集中力が問われる気がします。

切り取ったいくつかのショット、ご覧ください。

<ロープウェイ(下り)からのぞむ立山黒部タンボ平の絶景紅葉(28mm、f/8、1/500秒、ISO800)>
<ロープウェイ(下り)からのぞむ立山黒部タンボ平の絶景紅葉(31mm、f/8、1/400秒、ISO800)>

ロープウェイのすれ違う中間地点。

<ロープウェイ(下り)からのぞむ立山黒部タンボ平の絶景紅葉(28mm、f/8、1/640秒、ISO1000)>

<ロープウェイ(下り)からのぞむ立山黒部タンボ平の絶景紅葉(60mm、f/8、1/640秒、ISO1000)>

出来栄えはともかく、個人的にはとても満足いくロープウェイの往復乗車となりました。

体力不要の本当に絶好の紅葉撮影地です。

さて、ここで撮影終了でも十分に満腹感ありの状態でしたが、まだまだ時間もあるし、もう一つのポイントにまだ行っていないので、休む間もなく行動を続けます。

黒部平の庭園に出てきました。

この看板がある場所ですので、お土産物やさんから一歩足を外に踏み出せばすぐにわかります。本当に良い場所に立てられているものです。

ここからタンボ平を望む光景は、展望台からのぞむ光景とはまた一味違うものがありました。数十m場所が左に移っただけなのですが、不思議なものです。

特にガレ沢になっているところは、展望台からでは隠れてしまう部分もこの場所に来るとだいぶ見えるようになっています。

その違いも写欲を増す要因になっていたように思います。

その周辺は本当にピークの色付きでした。

そしてもう一つ。展望台にいた時は、なぜか気にならなかったもう一つのアングル。この場所からはどんと目に飛び込んできました。

この下の1枚です。

<黒部平庭園からのぞむ立山(雄山、大汝山)の絶景紅葉(125mm、f/13、1/20秒、ISO100)>

標高1828mの黒部平からのぞむ3,000m級の峰々です。

このような雄姿をのぞむことができる場所に、汗一つかかずに来れてしまうなんて本当にありがたい限りです。

さて、黒部平での絶景を堪能した後は、いよいよタンボ平の中に突入です。

ここからは登山道ですから、やはり登山用の装備は欲しいところ。

ですが、今回私がたどり着いた地点までであれば、スニーカーでも行けるとは思います。

ロープウェイのほぼ下に登山道がある感じなので、下記のようなロープウェイの写真を撮りたい方にとっては、この登山道の入り口部分も絶対押さえておきたいポイントでしょう。

この登山道入り口から進むこと約20分。

タンボ平の絶景が目の前にどんと見えてきます。

ここが今回の撮影の最後のポイント、目的地です。

しかし、ここに到達してわかったことがありました。

前回(13年前)訪れた時の印象がとても良いもので残っていたため、この場所も楽しみにしていたのですが、今回は残念なことに前回ほどのインパクトが残りませんでした。

下記の写真です。皆さんにはどのように映るものでしょうか。

手前の枝が正直邪魔ですが、これはいかんともしがたく、あくまでその奥に広がるタンボ平の紅葉に注目していただければと思います。

<タンボ平登山道入り口そばからのぞむタンボ平の絶景紅葉(70mm、f/9、1/320秒、ISO400)>

ここは今回の訪問で、唯一自分が期待していたレベルに達しなかった撮影ポイントになってしまいました。その理由は時間帯です。

上記の写真から、逆光の時間帯になってしまっていることをお感じ頂けるのではないでしょうか。もちろんきれいな発色はしていると思います。

ですがやはり斜光ではなく、かなりの逆光ではやはり撮影には向きません。

撮影地点をどの時間帯で移動していくのが良いか。

この場所に再び紅葉の時期に訪れることができるかわかりませんが、ロープウェイに乗って大観峰に行く前にこの場所に来て撮影をすべきなのかもしれません。自分自身への備忘録としても忘れないようにしたいと思っています。

さて、この場所からもう少しタンボ平を登っていくとどうなるか。

何を主題として撮影したいかという個人の好み、意図にもよると思いますが、私の場合は結果としては個人的には三脚を立てる場所は全くなく、撤退してきました。

もちろん、鮮やかな紅葉とロープウェイを合わせて収めたい、という方にはあちこちでよいポイントはあります。以下に掲載の写真は同じ場所で撮っています。ロープウェイを題材としてどのように考えるか、という点で好みもわかれるところかと思います。

純粋な風景写真であれば、この紅葉のきれいさだけを写しこみたい、という思いになるでしょうから、ロープウェイが通過しないタイミングでシャッターを切り、事後RAW現像をしていく際に、はっきりと写ってしまっている索道(ロープ)をレタッチによって消す方もあるかと思います。私はそれはしたくないと思っていますが、そこの部分の好みは人それぞれでしょう。

結果として、黒部平園地から約1時間とぼったところまでで引き返すこととなりました。前回とほぼ同様です。

そしていろいろ事後も調べてみましたが、それ以上、上に行っても特段撮影意欲を大いにそそられる箇所は、ガレ沢のところまでいかないと内容です。背丈を越える樹林帯が続き、眺望も決して良いとは言えないような感じです。

このタンボ平はやはり上部から(室堂から)一度下ってみることで、自分なりの撮影ポイントを探るのが一番でしょう。

そのためにはやはり宿泊の計画が必要であろうと思います。

しかし、今回の夜行バスで早朝に現地入りし、その日のバスで帰京するスケジュールであっても、存分にこの景色、紅葉を堪能できることは間違いありません。

どうぞ立山黒部アルペンルートの中の紅葉絶景、人生の中で一度は味わっていただきたい本当に素晴らしい場所です。