風景写真の愉しみ#6
前回、高額の大三元ズームレンズをついに手に入れたのに、泣く泣く手放したお話を致しました。ですが、お見せした写真には2本のレンズが写っていたわけで、今日はその話に進みたいと思います。
きっかけは、売ってしまった大三元レンズを初めて使った時のことです。
F2.8という明るさと、NikonD810というフルサイズを持ったことで、それまでと違う夜空の星々を写すことができるのでは、ということに山小屋で同室の人と話をしていてようやく気付いた時があったのです。
それまで持っていたD60ではISOは1600位までが限界かな、と感じていたのですが、D810であればISO6400でも大丈夫、という評判も認識していたことで、他の方々に促されるように夕食後、カメラと三脚を持ち出し、夜空にレンズを向けることとなりました。
結果撮れたのがこちら。
ビギナーズラックと言ってもよいでしょう。
何せその時はRAWで撮影していないし、全部でたった10枚くらいしか撮影していないのです。
標高約1,800mの山小屋にいて、周りには光害は全くないうえに空は快晴なのに、です。
でもその時生まれて初めて、天の川の肉眼ではっきり見ることができました。こんなに見えるんだ、というのが素直な感想。
上の写真でも縦に流れる天の川が何とかお分かりいただけると思います。
上手な方が撮られたすごい天の川とは比較になりませんが、自分の持っている機材でここまで写せるんだ、ということに本当に驚くと共に、また一つ写真の愉しみが増えた瞬間でもありました。
そこからです。
この時のズームレンズは広角24mmでしたが、前回お話したようにそのレンズは手放してしまい、新たに手にしたレンズの広角側は28mm。
星空を写すにはやはりもう少し欲しくなってくるわけです。
Nikonでは20mmの単焦点があり、評判も良いので、それを買おうか数年迷うこととなりました。
中古でもそのレンズ、なかなか値段が下がらないのです。
じりじりしている中で、全く無名のメーカーがNikonの中古よりもだいぶ安い値段で、新品の14mmを出していることを知りました。
安いのは理由がいくつかあったわけですが、一つは無名のブランドだから。そしてもう一つはマニュアルフォーカスのレンズだから。
ただし自分の場合は、あくまで星空のために欲しいレンズなので、マニュアルフォーカスは全く問題ありません。
あとは無名のメーカーという点。それがどこかと言えば、下記の写真の通りです。
SAMYANG。
ご存じですか?
私は全く知りませんでした。そこからまた逡巡が始まるわけですが、ネットで出ているレビューからすると悪くはなさそうだし、自分の場合はあくまで星空だから、ということで、ようやく購入に踏み切りました。
ちゃんと絞りリングもついているので、フィルムカメラでも使えるレンズだろうし、というのも判断要素の一つでした。
そしていかにも超広角レンズでござい、という感じの魚眼レンズ。
何か特別なものを持っている所有欲も満足させてくれるものでした。
しかし購入したものの、なかなか星空を写す機会に巡り合いません。
出掛ける時はいつも天気が悪く、一般の場所でのテスト撮影以外にほとんど出番がないままタンスの肥やしになっていました。
転機となったのは沖縄旅行でした。
初めて沖縄に観光で訪れることになり、当然のように海に向かってカメラを向けます。
持参のレンズは2本。
標準ズームと単焦点14mmのレンズです。
14mmが活躍する始めての場面でもありました。
ファインダーから覗く世界は、やはり28mmの世界とは全く違い、興奮しながらレンズ交換も頻繁に行いながらのあっという間の時間となりました。
家族が別行動している約半日の撮影に専念できる貴重な時間、ありがたいことに天候もどんどん良くなり、相当な枚数の撮影を堪能できました。
そして数日の沖縄旅行をエンジョイして帰宅し、いよいよRAW現像の時間に突入です。
しかし、あれっ、という画像に遭遇してしまいました。
下記をまずは御覧ください。
いかがでしょうか。違和感、お感じになりますよね。
魚眼レンズであれば当然画像は歪みます。それは覚悟の上でしたが、なんか、想定している歪みと違います。
もう一枚別な画像を御覧ください。
どうですか。
もう完全にあれれ? です。
なんでこんな歪みが出るの?
画像処理ソフトで歪み補正はできることは理解していますが、このような歪みではどうしようもありません。
もちろん28mmで撮った画像であればこのような歪みはありません。
当たり前ですよね。水平線がこのように歪んでいることはないわけですから。
しかし・・・
やはり14mmと28mmでは画角には相当な差があります。
海の風景写真であれば、残念ながら28mmでは物足りないということを改めて実感しました。
さあ、ここからまたレンズに関する悩みに突入です。
続きはまた次回に。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。