ロッテ・佐々木朗希投手の大記録達成に、高校時代の監督の慧眼を思う

プロ野球、ロッテ・佐々木朗希投手が2022年4月10日、完全試合を達成しました。

ヒットはおろか、フォアボールもデッドボールもない、誰も出塁できなかったというプロ野球ではまずお目にかかることのない素晴らしい投球が披露された、という試合でした。

日本のプロ野球界で28年ぶりという大記録です。

本当に佐々木投手、おめでとうございます。数々の名選手から絶賛のコメントが報道されていますが、私が思い出すのは、佐々木投手の高校3年生の時の話です。

2019年夏、高校野球岩手大会の決勝で、佐々木投手の所属する大船渡高校は、佐々木投手の全日完投したことによる疲労を考慮し、決勝戦では登板することなく、残念ながら花巻東高校に敗退し、甲子園出場はなりませんでした。

当時の監督のこの決断は、日本中で大きなニュースとなり、様々な波紋を投げかけることとなりました。

私にはその監督の判断の良否はわかりません。しかしながら、監督は佐々木投手の将来を考えて、高校生というまだ体が出来上がっているとは言えない若者の将来のために、目先の勝利の可能性が低くなることが分かっていても周囲の声に惑わされずに決断したのだと思います。

この指導者の将来への思い、そして決断、そして当然寄せられる様々な批判への覚悟。どれほどの重い決断をしたのか、想像することすらできませんが、常人の肖像の域をはるかに超える苦渋の決断であったことは容易に想像がつきます。

佐々木投手を使えば、甲子園に行けるかもしれない。もし起用しなければ、甲子園に行けなくなるかもしれない。行けなくなった場合の選手や親御さん、関係者の落胆、さらには批判が来る可能性まですべて含めて決断です。

並みの指導者であれば、起用しないという選択肢はないはずです。

しかし佐々木投手の将来にかけて、その批判全てを背負う覚悟で決断をされたのではないでしょうか。

そして今般、プロデビュー14試合目。今まで完投すらしたことがなかった佐々木投手のいきなりと言ってもよい大快挙。国内だけでなく、既にメジャーリーグからも注目され始めているようです。

この快挙を聞いて、当時の大船渡高校の監督はどのようなことを思ったのでしょうか。私は真っ先にそのことを思いました。

当時の監督がどれほどの批判を受け、そしてどのようなことを感じたのかはわかりません。どうやら野球の世界は離れられたようで、おそらく様々なことがあったのでしょう。覚悟の上とは言え、相当に傷つく状況でもあったのではないでしょうか。

ですが、おそらく、今回の快挙がその監督の背負われた重荷の一つを下ろすことにつながったのではないかと思います。

昔の投手のように、連投に次ぐ連投でその上で甲子園で大活躍してプロ野球入りしたとしても、今回のような快挙を成し遂げていたかもしれません。 歴史に「たら・れば」は禁物ですが、いずれにしても、佐々木投手以上に苦しいものを背負って日々を過ごしていたのではないかと思える大船渡高校の当時の監督が今回の快挙を誰よりも喜んでいる人に違いない、そう私は思いました。

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